8 「無理」と「やだ」の違い

前を行く女子高生が二人、「無理」と「やだ」はどちらがいいのか、という話に興じている。
詳細は定かではないが、どうやら「やだ」の方が優しい、というようなところに着地しそうな話であった。
確かに、「無理」にはもうそれ以上はないという行き詰まり感があるが、「やだ」には、少しは譲歩する用意があるといったようなニュアンスを感じる。
「嫌よ嫌よも好きのうち」などという言葉に慣れ親しんだ世代であるからかもしれないが、相手によっては、駆け引きや甘えを含んだ表現とも受け取れるものである。
恋愛関係を意識していた相手に、どちらを言われれば希望を持てるかと考えれば、一目瞭然ではないか。

話は違うが、大人数恐怖症である。
そのような症例があるのかは知らない。
しかし、大人数を前にすると、そうとしか説明のつかないような居心地の悪さにたびたび見舞われてきた。
世の人を見ると、別にどうということもなさそうな点から言って、やはりそういう傾向があるのだろう。この場合の私の気持ちは無論「無理」である。
ところが、このところの心境の変化なのか、自分の中にあったネガティブな感情を手離してきたことの成果なのかはわからないが、大人数を前にしてもさほど気にならなくなった。
直近の調べでは、人数多めの飲み会の出欠に際し、私の気持ちは「やだ」に近いことが判明した。
「やだ」はただのポーズで、本音はその反対なのでは?という考えがチラついた。
もう一押しされれば落ちる女の気持ちは、あるいはこんな風であるかも知れない。

2023.1.9 交野左絵

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